ロケットストーブとは、暖気の上昇気流を有効に促すHeatRiserという構造をもった、燃焼効率の高い薪ストーブ。その手の書物を見ると、その特性を活かした床暖房や、クッキングストーブなど、実に愉しげな手作りの世界が拡がっている。案の定、実際に目の前で燃えているのを我が物にしたいと思い、オークションなどで売っている品を物色しながら一年以上が経過、手っ取り早く買ってしまおうかかと思いあぐねている内に、自宅の庭先に転がっているもので、とりあえず実験ができそうだと思いついた。塗装油が入っていた一斗缶が三つ。これにベビーサンダーで穴を開けて、三段に積んで、HeatRiserの原理をまねてみようとした。
そしてもう一つ、現場に転がっていた空調配管用のスパイラルダクトを見て、これにいくらか接続パーツを買い足せば、ロケットストーブもどきができそうだと思いつく。ハンズマンに脚を運び、いろいろと目移りしながらも、限られた時間を我が一時のショッピングライフに費やす。
前者を一斗缶三段ロケットストーブ(ISRS)、後者をスパイラルダクトロケットストーブ(SDRS)と呼べば、実状を上回るイメージを装うことができる。ISRSは最上段に焼き網を乗せて、魚やお餅などを焼くのに好都合であった。炭火のように赤外線ではなく、熱風だから、どちらかというとノンオイルフライヤーの原理に近い。冷めた唐揚げなど良いかもしれない。SDRSの方は、実はこちらの方が、どういう理由か、薪が長持ちするよう気がする。ものの書にも煙道は丸型の方が、熱風の動きにとってスムーズだというようなことが書かれていたから、それと関係するのかもしれないが、なおかつ断面積が薪の断面とフィットしていることなどが奏功しているかもしれない。こちらの方は、煙道が自由自在に設計できるので、人間の生活空間への応用がしやすいかもしれない。
いずれにしても、ロケットストーブは、鉄製の薪ストーブの世界と異なり、原始的であるが故、おそらく手作り品と商品との差が小さいのだろうか。自作の世界がこのように拡がっている。また、なにかとマンション暮らしの方が利点の多い今日の生活スタイルの中で、薪ストーブと遊べることは、考えてみると一軒家暮らしでないと出来ない「醍醐味」だ。自分で作ってみて=遊んでみて、そのことがよくわかった。
2017. 2. 19