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2012. 4. 23

センシブルハウス-「プロローグ1」

例えば、F1レースとマイレージレースの両極。ジェット機とグライダー、モーターボートとヨット。それぞれ、両方とも乗り物ですが、大きな対極を成しています。前者がエネルギー、スピード、人工、科学、技術、産業、経済、といったものを想像させると、後者は、代わりに脱エネルギー、自然、といったイメージでしょうか。皆さんは、どちらになじみがあるでしょうか。もちろん趣味や仕事としてであれば、どちらもありでしょうが、第三者の関心事として、なにかにつけて見聞きするのはおそらく前者ではないかと思います。後者より前者の方が、よりスピードがあり、強く、たくましく、英知を感じさせます。なんとなく、世の中の発展とか未来は前者が担っているというふうに感じられると思います。一方、これらのよりアクティブ(能動的)な物事に目線を奪われながらも、私達の世界には、その対極の静かなところで受動的(パッシブ)な物事の世界が必ずあります。

家作りにもおなじことが言えそうです。今、家作りの表舞台がどちらに向かっているかというと、上記でいえば、F1や、ジェット機、モーターボートと同じ考え方に沿って何処かへ向かっています。省エネルギーを目指しながらも、基本は、人間の欲求を無限に求める、これが大原則にある技術の錬磨です。家は大きな家電となることによって、賢くなろうとしています。エネルギーの無駄遣いを減らしながらも、エネルギーを消費することによって得られる快適性は損なわない。これが前提となっている家作りです。我慢しない省エネ、我慢せずに社会を持続させる、当面は、遜色のない受け入れられやすいシナリオをもって、家、あるいは住宅産業は大きく動いています。そのようなメインストリームに対して、明らかに異なる価値を持つ対極の家作りがありそうです。少なくとも家が家電化するというものとは別のところに価値を持っているのかもしれません。

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