DesignBuild workshop 

紙の茶室 2×2×2m モックアップ (2016福大大学院課題)

DesignBuild workshop 

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ワークショップ/イベント 継続PJ

DesignBuild=設計施工。
日本人にとっては、おそらく本来の建築づくりのありかたのはずである。C.アレグザンダー的に言うなら、日本のかつての大工棟梁は設計から施工までを一環して行う「アーキテクトビルダー」であった。明治期以降、設計者と施工者を別の人間として育てて、それぞれに分離発注していく作り方を西欧から取り入れることになり、20世紀にこの方法を浸透、確立させていった。
21世紀に入ってからの新国立競技場建設が、設計施工一環での提案と発注となったことによって、積み上げられてきた分離発注の産業構造は文化慣習の類で了解されていないのではということを示した。国が施主であるから、とか、国家プロジェクト規模であるから、とかではなく、世間一般の建築行為において、本当は、設計施工一環で発注したいのだ日本人は、ということを代弁した出来事であった。

分離発注のやりかたは、もちろん今でもそこかしこに日常的なものであるが、仮に、歴然とした分離発注のプロジェクトであっても、設計者は、あたかも施工者と同様同列の責任、もしくは対処をせねばならない状況は、実務を積み重ねてきた設計者であれば、よく知るはずである。

それはともかく、事務所で、これまで少なからずの設計施工事例の中で、特に建築学生と共に行ったものづくりを、ここにアーカイブしておきたい。小さな出来事であるけれども、建築家への設計監理料、施工者への施工費用の削減が目的ということに加えて、学生たちと実験的、あるいは、初々しいアイデア、といった、成熟したものづくりにはない愉しみを彼らに見出そうという施主が、不意に降臨する時がある。

その時すかさず、純然たる設計者とも先生ともいえない人格にマッチングアプリが起動する。カッコよくいえば、プロデュースとマネジメントを行う。当然ながら、学生にとっては、これ以上の教材はない。スキルレスの学生に所定の品質をアウトプットしてもらうための誘導指導、あるいは手助けを行い、スキルフルな職人の鎮座する土俵を巧妙に避けて別の土俵で戦うという「技術のデザイン」第175(日)を伝授する。これらの際どい責任の果たし方は、振り返るとそれなりのノウハウなのではないかと、自画自賛もある。
金銭的トレードを限りなく除外した、別の何かのトレードにちょっとした理想を感じたりしているから、懲りずにまた取り組む。巨大な産業構造の中でのとてもナイーブ(無邪気/愚鈍)な営みかもしれないが、であるからこそ、事例として、積み重ねを公開しようと思い立った。

そのまえ