2024. 9. 11 permalink
2021年に2ヶ月で改修した、頂上の家では、エアコンは、2008年製14畳のものを持ち込んだり、また、年代ものの既設のものを、そのまま用いることとしていた。
大きな改修時、使えるものは使う、でないと、お金がいくらあっても足りない。とはいえ、67㎡(42畳)の執務室に家庭用14畳用のエアコンで代用するということ自体、ほとんど実験でしかなかった。
夏は、標高84mのこの高台に吹く、自然の風を利用しながらの、「無冷房執務トライアル」を身体の基準としていたから、冷房能力にはさほど不足を感じることはなかった。今日は冷房がついている、だけでも快挙である。問題は、冬だ。やはりよく言われるように、エアコンの能力算定は、暖房が底上げする。建築士の試験でも出てくるようにヒートポンプ式の空調は、外気温と目的内気温との差が大きいほど不利になる。冬は外0℃-内20℃で、20℃の差があるが、夏にその差は必要ない。だから、冬でエアコンの能力は決まる。
つまりこの3年間、冬はガスヒーターで補っていた。あるいは、寒くなったら地下に降りて作業をしたりした。エアコンの取り替えは、当たり前の能力が欲しかった、というのはあるにはあったが、それよりは、数十万円の経費流出の動機付けは、省エネ性能の回復のためであるという方が大きい。
エアコンはどのくらいで取り替えるべきか、と尋ねると、取り替え業者からは、8年と返ってきたことをキチンと覚えてはいる。ただし、8年でなにか不便が発生するかというとそれはないから、そのまま10年でも15年でも使い続けられてしまう。しかし、上記の寿命を決めているのは、室外機のコンプレッサーである。コンプレッサーとは、日本語に直せば圧縮機、だが、気体を常に圧縮する作業のため、金属同士のすり合わせが、摩耗する宿命を持っていて、そこから気体がだんだん漏れ始めてくるから、経年使用で必ず能力が落ちるものである。同じ能力発現に対して、毎年、エアコンの使用電力量が、4〜5%の割合で増加するという。5年後には、1.2〜1.3倍、10年経過すると1.5倍、知らぬ間に電気を食っているということのようである。そして12年を過ぎると、割合が急激に上がり、15年では、2.5倍などという数字もあるようである。(国交省営繕部施設課による建築設備設計基準)
まさに、事務所のエアコンは、14畳用が2008年製で15年以上、6畳用のが、何時のものか不明という状態、稼働はしていて一応冷たい風は出てくるが、室外機は時折轟音が鳴り響き、おそらく、余計な電気を使っていたのである。まだ、一応効くから使い続ける、という勿体無い精神を上記の理屈で制御して、この度、新調に踏み切ったのである。
ちなみに、税務処理的にも、30万円以下のエアコンは、当年の一括償却ができるらしい。節税対策と省エネ対策が合理的に組み合わさっている、よく考えられた税制だと、珍しく納得がいったりもした。