2024. 7. 3 permalink
今日、現場に久しぶりに出向いたら、熊本から荒木新二さんが、現場に入っていて、黒漆喰「瑞黒」を塗っていた。そのトイ面は、徹夜したことがばれている黒漆喰のノロ黒。魚の名前ではない。漆喰には通常、繊維が入っているが、ノロには、磨くには邪魔な繊維質が省かれていて、最上級の黒磨きを行う材料。通常の白漆喰を塗った後、追っかけで、このノロをかけて、仕上げる工法。
まだ硬化途中の黒漆喰は、文字通り漆黒である。こういう、伝統的な工法が、今の時代のどこで生かされるか、不安と期待がある。この、「黒く輝いている壁」という結果物に秘めたプロセス&ストーリーが、対価に見合った価値としてトレードされていく(そう遠からぬ)未来を想像する。だめかもしれない、よりも、確信のようなものが、芽生え始めている。とにかく今は、それができる職人との出会いが、なによりも欠かせない。
そういえば、今日の本題は、漆喰「あつもり」の上塗り、というか、やりなおし。自分が張り付いてやったにも関わらず、うまくいかなかった。矢羽田さん、手間かけてすみません。心機一転、上から「あつもり」を直に上塗り。この材料の可能性には、だれもまだ気づいていない、と一人でほくそ笑みつつ、どういう仕上げが開発できるか、矢羽田さんにいろいろ注文しながら、進めていく。。途中から荒木さんチームが加勢してくれて、あっという間に塗り上がった。早い。既存のベースライトの美装を目的とした、照明シェードを、「水紋」という考えで制作したので、こちらは渦潮仕上げだ!などと叫びながら。