2023. 12. 14 permalink
星野村の製材所「八女流」から、佐賀大学に向かう途中に、大川のパリモンスリーに立ち寄った。久しぶりご夫婦元気かなというのと、やはり久しぶりあのパンを食べたくなった。お互い、久しぶりですねとなり、「若くなったようですね」と開口一番言われて、そのために来た甲斐があった、と一瞬本題を忘れそうになる。外壁が、あれ以来手を入れていなくて、とオーナーは設計者に申し訳なさそうに話すが、これはこれで、という雰囲気であるとも。確かに、柿渋+ベンガラは、風雨に晒されてほとんど落ちている。水性塗料だから、だれでも気軽に濡れる=落ちやすい、の循環を前提としている、といえば聞こえがよすぎ?
本題は、車の中でほうばったブドーパン。外観はなんちゃないが、なんという美味しさ。側がフランスパンらしくParis、としていて、中は、空気のように軽い。ブドーがうまいとかではなく、生地がとにかく、他にあじわったことのない食感。もう一個食べたかったが、事務所/家族への福利厚生品ということで我慢。(翌日、家族で食い尽くされていたので、事務所には無戦果)
メディアを賑わせるパン屋さんは、たくさんあるが、前評判があればあるほど、そんなもんかなーということになってしまう、そのパターンの反対をパリモンスリーは味合わせてくれる。オーナーの職人性は、建設時から横目で見ていたが、いわゆる、他人が簡単には真似できない技術のようだった。オーブンは旧式で、と照れながら話されていたことも思い出した。店が再スタートの時も、オーブンの調子が悪いとかなんとかで、ぶつぶつ言われていた。日によって色々と、調整をしながら焼かれるようで、結局そのさじ加減のようなものの集大成でできているからか、こちらから尋ねる知識がないまま、彼から、その奥義の一端すら聞けずじまいである。
ここにも「個人に宿る技能」が歴然と存在する。もう少し、その中身を聞き出したいものだ。さもなくば、フランスパンの神様=ビゴさんからうけついだこの味を、次世代に残していただきたいとも痛感した。